Japana Sociala Forumo

ダイオキシン問題小史

第4回そして「騒動」は始まった

原田和明

プラントメーカーはダイオキシン対策技術として廃棄物熱分解溶融プロセスを新たに開発した。新技術なので自治体が採用する根拠として採用実績の代わりに「技術評価書」(彼らの業界団体からなる廃棄物研究財団が発行)を代用するというシステムも生み出した。採用する自治体に財政支援する法整備もできた。自治体が大型焼却炉を選択するよう補助金で誘導する仕組みも作った。しかも期限付きにして自治体を急かすことも忘れなかった。それだけの準備が整い、たまたま?自民党も政権を取り戻した。その上で、85年以来封印してきたダイオキシン排出実態を測定する指示も出した。

これまでプラントメーカー各社はダイオキシン特需のために、「ダイオキシンは儲かる」との共通認識のもと一社数十億もの資金を出して共同もしてやってきました。やっと投資を回収する時期を迎えた のです。あとは「排出実態」をどのようなタイミングで公表するか、その成否によってダイオキシンのためなら巨費投入もやむなしという雰囲気を作れるかどうかが決まる。

このようなお膳立てがあったことを年頭において97年(「騒動」元年)のできごとを振り返ってみます。

1月・・新ガイドライン(ダイオキシン類削減プログラム)公表。
・・・・・暫定基準 80ng-TEQ/Nm3。

2月・・WHOがダイオキシンを発ガン性物質に指定。

3月・・埼玉県は所沢市産廃銀座の環境調査結果公表。
・・・・・非汚染地域と比べ50倍高い。
・・・・・「ダイオキシンを少なくし所沢にきれいな空気を取り戻す
・・・・・ための条例」可決。

4月・・「容器包装リサイクル法」本格施行。
・・・・・全国1864施設のうち1150施設のダイオキシン排出
・・・・・濃度調査結果を公表、緊急対策を要する 80ng/Nm3 を超え
・・・・・た施設は72施設。

5月・・長崎で全国都市清掃会議総会(ダイオキシンで財政支援、
・・・・・再生紙利用促進、リサイクル法で事業者の負担を重くすべ
・・・・・きことを採択)。

6月・・351施設の調査結果を公表(34個所で基準超過)。

8月・・大気汚染防止法施行令の一部を改正(ダイオキシンを有害
・・・・・大気汚染物質のうちの「指定物質」に指定、98年12月
・・・・・以降 80ng/Nm3 以下に規制)。
・・・・・廃掃法施行令及び施行規則改正(廃棄物焼却炉の構造基準
・・・・・及び維持管理基準規定)。

9月・・日本語版「奪われし未来」発刊。

11月NHK「生殖異変〜しのびよる環境ホルモン汚染」放送。

これらのできごとがあの「騒動」の規模に比べ十分な世論操作を構成していたとまでは思えません。しかし、わずかの期間に国民の誰もがダイオキシンという言葉は知っているという状態になるほどの「騒動」になりました。そして、ともかく結果としては「ダイオキシン特需」は目論見通りとなりました。

しかし、各地に建設された様々な大型焼却施設(溶融炉、RDF=ゴミ固形燃料製造施設など)は過重なコスト負担で自治体の財政を圧迫するだけでなく、設備自体が大小のトラブルを起こし、技術に依存したダイオキシン対策採用の是非が問われています。政府が目標とした「不況下の目玉として環境産業を育成」とはならず、プラントメーカーなど重厚長大産業の延命のために巨額の公的資金をつぎ込んだだけ、その負担は誰に?という状況に陥っています。

こうして、ダイオキシン対策の緊急性、優先順位について議論されることはほとんどないままに、ニュースステーションの「所沢野菜報道」以降、「ダイオキシン特措法」施行を経て急速に「騒動」は鎮静化しました。次回は「騒動」の原因について考えたいと思います。

編集/安濃一樹
ヤパーナ社会フォーラム
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