Japana Sociala Forumo

ダイオキシン問題小史

第5回「特需」の配分

原田和明

98年はさらに規制強化が図られました。世界保健機関(WHO)専門家会議のダイオキシン類の一日当たりの許容摂取量(TDI)見直し(10pg→1〜4pg-TEQ/kg日に改定)を受け、厚生省は6月29日ダイオキシン類健康影響評価特別部会を設置してTDIの検討を開始、環境庁も7月14日、ダイオキシンリスク評価検討会を開催し、ダイオキシン類の「健康リスク評価指針値」を見直すこととしました。

空前の「騒動」の中、規制強化は好意的に受け止められました。同時にダイオキシン対策費は膨張していったのです。環境庁は、99年度予算として、環境ホルモンやダイオキシンなどに98年度予算の3倍の73億円を概算要求に盛り込み、厚生省は、ダイオキシン対策で、ごみ焼却施設の新増設補助732億円、環境ホルモン研究で11億円を盛り込むなど「特需」は拡大を続けました。

その中で、事件が起きました。4月には大阪府能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」周辺土壌で高濃度のダイオキシン汚染が判明、その後データ捏造が発覚しました。その後、「ダイオキシン特需」の配分をめぐる対立に起因するかと思われる事件が続きます。

6月11日、公正取引委員会が、自治体等からのダイオキシン測定受託に関し、独占防止法違反(談合による落札業者・価格の決定)の疑いで、「廃棄物処理に係わるダイオキシン類測定分析技術研究会」の会員企業20数社を立ち入り検査しました。この年、補正予算として大規模なダイオキシン調査費が計上されていましたが、研究会会員でないと受注できないシステムになっていたことで生じた業界内部のトラブルが表面化したような事件でした。

慌てた厚生省は、7月15日、「廃棄物処理に係るダイオキシン類測定分析技術研究会」のダイオキシン測定受注に係る談合問題をうけて、同研究会への参加を必ずしも発注の条件とはせず、「適正な業者」を選定するよう全国都道府県に通知しました。さっそく8月には、環境庁のダイオキシン類の全国調査の調査・分析入札で、総予定価格15億円に対して総落札価格が3割も下回るということが おきました。

9月になると今度は焼却炉メーカー(ダイオキシン分析会社の親会社である場合が多い)に公正取引委員会の立ち入り検査が入りました。9月17日、自治体などのごみ処理施設 建設入札の際に、焼却炉メーカーが談合を行っていた疑いで(独占禁止法違反容疑)、日立造船・三菱重工業・タクマ・NKK・川崎重工業・荏原製作所・石川島播磨重工業・住友重機械工業・神戸製鋼所・クボタ・三井造船の11社約30か所が立ち入り検査されたのです。「特需」に潤う大手のほとんどといってよいでしょう。

中でも日立造船・三菱重工業・タクマ・NKK・川崎重工業5社は、73年頃から自治体の発注の際に「五社会」(日本環境衛生工業会=焼却炉業界団体の中心会社の親睦組織)という会合で談合を行っていた疑いというのですから筋金入りです。73年といえば、その前年6月に「廃棄物処理施設整備緊急措置法」が施行され、国家事業として焼却炉建設が推進されていますので、焼却炉ビジネスは「歴史ある」利権構造であったことがわかります。しかし、この事件はその後の「騒動」にほとんど影響しませんでした。

これに先立つ7月にはNKK、荏原製作所が式高温ガス化直接溶融炉で「技術評価書」を取得しています。96年の三井造船に次ぐ、「技術評価書」の2、3号になります。取得で事実上、国庫補助の対象として認知されるのです。7月の「技術評価書」の取得と9月の公取委立ち入りの関係、およびそれぞれのいきさつについての情報はもちあわせていません。

この業界の体質について、あるいは焼却炉に補助金を出し続ける厚生省の責任について、10月の環境委員会(衆議院)で野党から質問された日本環境衛生工業会のT氏が逆切れするという「事件?」もありました。

編集/安濃一樹
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