Japana Sociala Forumo

パレスチナ人の虐殺を注文し
代金を支払ったのは
私たちアメリカ人である

ロバート・ジェンセン

米ヒューストン・クロニクル紙(2002年4月9日)

わたしは今日、パレスチナ人を殺す手伝いをした。あなたがもしアメリカ政府に税金を納めているなら、あなたも同罪だ。政府の政策が変わらないかぎり、明日も同じことが繰りかえされる。

アメリカ人にとって、パレスチナでつづく「暴力の連鎖」を非難することはたやすい。しかし私たち自身がその暴力に関与していることを認めないとすれば、パレスチナや中東諸国に公正な平和はありえないだろう。

「アメリカは中立国として和平交渉を仲介する」という神話を捨て去ることから始めなければならない。南部研究所(サウス・カロライナ大学)【1】によると、1999年9月のシャーム・エルシーク平和合意からの一年間に、アメリカ政府はイスラエルへ36億ドル(約4700億円)相当の武器を浴びせかけるように輸出している。中立であるはずの国がとる政策としては実に奇妙なものだ。

だから私たちは、イスラエルの戦車部隊がヨルダン川西岸の街や難民キャンプへ侵攻を始めたとニュースで聞くとき、その戦車がアメリカ製で、アメリカの助成金によりイスラエルが購入したことを思い起こすべきだろう。イスラエルの猛攻に使われるジェットとヘリコプターは、F16戦闘機・ブラックホーク兵士輸送ヘリ・アパッチ攻撃ヘリだ。機関銃やロケット砲・ミサイル・爆弾──私たちの税金で購入されたアメリカ製の武器──がパレスチナ市民を殺傷するために使われている。ここで私たちは二つの現実に直面しなければならない。

ひとつは、今回のイスラエル軍によるヨルダン川西岸の街や村への攻撃は「テロとの戦い」ではないということ。これは土地と資源をめぐり、パレスチナ人に対して仕掛けられた長く残虐な戦争の一段階である。もしイスラエルが本当にテロリズムの終結を望むなら、ヨルダン川西岸とガザの35年間にわたる不法軍事占拠を止めるだろう。撤退する姿勢を示さないかぎり、イスラエルによる平和への訴えは空しく響く。イスラエルが安全保障をえようとして武力を行使すれば、危機はさらに高まるだろう。

もうひとつは、アメリカの軍事的・経済的な支援──年30億ドル(約4000億円)の直接援助──がなければ、パレスチナ人に対するイスラエルの戦争は不可能だということ。イスラエルによる占領に全世界が反対しているなかで、私たちの政府は政治力と外交でイスラエルをかばい、結果としてイスラエルは国際法をあざ笑う。これまでアメリカの要人たちは、イスラエルの政策を批判するとしても、軽く釘を刺すくらいだったが、イスラエルが[アメリカ政府の]要請を無視して軍を撤退しないため、彼らの批判は日を追って厳しさを増してきた。しかし、イスラエルは世界世論を──そして占領の終結を求める国連決議の数々を──無視しつづけることができる。なぜなら、アメリカの支持があるからだ。

アメリカの高官は近ごろ、シャロン政権とリクード党の過激な暴力から距離を置こうとしているが、労働党が政権を取りさえすればすべて上手くゆくと考えるのは全くばかげている。イスラエルの二大政党は、政治スタイルに違いがあるとしても、実質的にたいして違わない。占領地域への入植問題をみればわかるだろう。

真剣に平和を望んでいると、イスラエルは繰りかえし主張してきた。それが本当なら、なぜヨルダン西岸とガザへの入植者がオスロ合意【2】からの十年間に倍増しているのか。平和解決を目指すうえで、入植問題が最も大きな障害のひとつであることを考慮すれば、なぜイスラエル政府は──労働党もリクード党も同じように──オスロ合意による平和プロセスが進められるはずの期間に、不法占領した土地への入植を拡張しようとするのか。

中東の抗争を解決する唯一の方法は、国際社会の協賛のもとに、中東諸国が平和会議を開くことである。そしてこの会議は国際法を厳守するものでなければならない。ここで中東の軍縮を必ず議論して、グローバルな軍備拡張(アメリカが武器の商人として最もいい成績をあげている)の狂気を鎮める運動に寄与するべきだ。この平和プロセスを妨害しないことこそ、アメリカの果たし得る最大の貢献となるだろう。

しかしアメリカは今すぐにでも、眼前の危機状況を緩和することができる。イスラエルを財政的に援助しているアメリカにはそれだけの影響力があるからだ。私たちアメリカ市民は、私たちの政府に強く働きかけて、確固とした声明文を出すよう求めるべきである──「イスラエルは今つづけている残虐な攻撃を止め、占領の終結にむけて有意義な行動を示さなければならない。イスラエルがこれに同意するまで、アメリカはイスラエルへの援助を凍結する」と。

これができないとしたら、私たちは自らの責任を自覚するしかない。パレスチナの街に打ち込まれる新たなミサイルに、パレスチナの家に投げかけられる次の砲弾に、罪のないパレスチナ人を撃つ一発の弾丸に、私たちアメリカ市民は一端の責任を負う。

Robert Jensen, "We bought and paid for carnage of Palestinians," Houston Chronicle, April 9, 2002, p. A-23. http://uts.cc.utexas.edu/%7Erjensen/freelance/ikilledapalestinian.htm

ロバート・ジェンセン。テキサス大学オースティン校・ジャーナリズム学部教授、反戦活動団体ノーウォー・コレクティブ会員。平和や人権・公民権・言論の自由に関する多くの論説を、新聞各紙やZネットカウンターパンチコモン・ドリームズなど左派・進歩派の報道サイトに寄稿している。本文は米ヒューストン・クロニクル紙に掲載された後、カウンターパンチとパレスチナ・クロニクルに再掲載された。

2001年9月、アメリカの対外政策を批判する論説をヒューストン・クロニクル紙に発表したため、ジェンセンはテキサス大学オースティン校の学長から「愚か者」と侮辱された。同年11月には、新保守派の教育団体ACTAが公開したレポートのブラックリストに名前をあげられ、「愛国心に欠ける」知識人として、ノーム・チョムスキーを始めとする多くの進歩派の学者とともに非難された。

【1】The Institute for Southern Studies, University of South Carolina. http://www.cla.sc.edu/ISS/

【2】 1993年9月にノルウェーの首都オスロで、PLOのアラファト議長とイスラエルのラビン首相のあいだで秘密交渉が行なわれ、パレスチナ暫定自治合意が成立した。これをオスロ合意と呼び、ガザ地区とヨルダン川西岸でパレスチナ人の自治を実現するための第一歩が踏み出されたかに見えたが、パレスチナの街や村は分断され、イスラエルによる植民地化は進み、非合法の入植地は拡大していった。

著作権/原文に関するすべての権利はジェンセン本人が留保する。
翻訳に際しては本人から直接に許可を得た。

編集/安濃一樹
ヤパーナ社会フォーラム
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