Japana Sociala Forumo

ファルージャからのレポート
街を救うために街を破壊する

ラウル・マハジャン

抄訳/パンタ笛吹(TUPチーム)

2004年4月12日

私たちは一時停戦中のファルージャに行った。そこで私たちが見たことをここでレポートしよう。

ファルージャでは今、治療を行える病院が4軒しかない。そのうちの1軒は、自動車の修理工場を臨時に使っているありさまだ。この町への攻撃が始まったとき、米軍はまず発電所を爆撃したので町中が停電だ。病院では自家発電でなんとかしのいでいる。

私たちが行った病院は、まさに死にものぐるいの様相を呈していた。医者たちはほとんど眠らずに、昼夜を徹して負傷者の治療にあたっていた。

英語を流ちょうに話す病院の部長、アル・ナザルは、米軍によるファルージャの包囲が始まってからの恐怖の出来事をこう語った。

──女性や子どもたちがたくさん撃たれたんです。また米軍の狙撃手は、負傷者を運んでいる救急車に向かっても弾を浴びせたのです。私は47歳のいまになるまで馬鹿でした。これまで米欧の文明を信じていたんですからね──

救急車までが射撃されたなんて、ここに来るまで私は信じていなかった。しかし病院で、フロントガラスに弾痕がついている救急車をこの目で見た。それは運転手の胸を狙って正確に発射された弾痕だった。米軍の狙撃手は、敵兵の胸を的確に射撃するように訓練されているという。

ファルージャの町中が停電で真っ暗な中、この救急車は赤と青のライトを点滅させ、サイレンを鳴らしながら走っていたので、抵抗勢力と間違えられることはありえない。だから、意図的に狙撃されたとしか考えられない。

一時停戦中なので、米軍は重火器を使っての爆撃は控えている。その代わり狙撃手を使っての攻撃が今も続いている。私たちがその小さな病院にいた4時間の間に、10数人の負傷者が運ばれてきた。

その中に18歳の若い女性がいた。彼女は頭を撃たれ、口から泡を吹きながら発作に襲われていた。医者は、彼女の命は今夜いっぱいは持たないだろうと言った。

同じように死にかかって運ばれてきたのは幼い少年だった。彼の内臓は大量に出血していた。また、上半身のほとんどが焼けただれたまま運び込まれた男性も見た。彼の太ももはギザギザにちぎれており、これはクラスター爆弾にやられたのではないかと思われた。

病院の中は、「アラー・アクバル!」(神は偉大なり)と泣き叫ぶ人びとであふれ、錯乱状態だった。そして人びとの怒りはすべて、この地獄をもたらしたアメリカ人に向けられていた。

ブッシュ政権は、ファルージャで抵抗しているムジャヒディン(聖なる戦士)は一部の過激派で、多数の市民から孤立していると断言している。これは笑止千万で、これほど真実から離れた言葉はないだろう。

もちろん、女子供や老人はムジャヒディンには加わらないが、地域の住民は全力でムジャヒディンをサポートしているのが現実だ。私が会ったムジャヒディンのひとりがイラク警察の防弾服を着ていたので尋ねたところ、実際に彼はイラク警察の一員だった。

負傷して運び込まれた青年アリに、「君はムジャヒディンなのか?」と聞くと彼は、「今日まではそうじゃなかったけど、でもこれからは・・・」と微笑みながら親指でグーサインを出した。こんな仕打ちのあとでは、彼もカラシニコフ銃を手に取るのだろう。

病院の部長、アル・ナザルはこう語った。

──もしサダムがファルージャ市民に働けと命令したら、われわれは3日間の連休をとりたがるでしょう。ファルージャの住民はサダムの信望者などではありません。それどころかサダムに抵抗しつづけたんです。なのにアメリカ人はわれわれをサダムの残党なんて、まだ呼んでいるんです──

また、通訳のアル・アロウビーは、「ファルージャの人びとは、素朴でシンプルな人間なんです」と私に言った。これらの人びとのほとんどは信仰心の篤い農民なのである。だから、ファルージャの人びとの好意的な接待を受けることは、いたって簡単なはずだったのだ。なのに米軍は、無惨な挑発行為で彼らの善意を無茶苦茶にしてしまった。

今となってはファルージャは残忍な集団処罰の処刑場になってしまった。すでに600人以上の市民が殺されたが、そのうちの200人が女性で、100人以上が子供たちだったと見積もられている。男性の死者の多くもまた非戦闘員である一般市民だった。

ベトナム戦争のとき、米特殊部隊の大佐が、「この町を救うために、まずこの町を破壊しなくてはいけない」と言った。いまのイラクでも米兵は同じことを言うのだろう。ファルージャは破壊されつくさないかぎり、テロリストたちから救うことができないのだと・・・。

Rahul Mahajan, "Report from Fallujah -- Destroying a Town in Order to Save it," Common Dreams News Center, April 12, 2004.
http://www.commondreams.org/views04/0412-01.htm

ラウル・マハジャンがバグダッドから発信するウェブログ Empire Notes はアメリカのイラク侵略と占領の実態を明らかにする貴重な現地レポートとなっている。左派/進歩派のサイト Common Dreams が掲載した本稿は、4月11日午後2時(東部標準時間)にファルージャから発信されたブログである。

著作権(2004年)
原文に関するすべての権利はラウル・マハジャンが留保する。

編集/安濃一樹
ヤパーナ社会フォーラム
http://japana.org/start.html
mailto:kazuki@japana.org

ヤパーナ社会フォーラムのロゴ

スタートページへ
戦争と平和の目次へ